人事労務管理に関する相談指導
事業経営における人事管理、労務管理上起こりうる様々な相談事項に対して、
労働諸法令に基づき専門的見地からアドバイスさせていただくのが社労士の業務です。
相談事例として
働き方改革関連指導(年次有給休暇5日間強制付与、時間外労働及び休日労働に関する上限規制、同一労働同一賃金など)
内定、試用期間等、採用時における法的留意点
労働契約解約時における法的留意点(解雇、勧奨退職、辞職、自己都合退職など)
転籍、出向、転勤等の法律実務
契約社員、パートタイマー、派遣労働者の活用法(同一労働同一賃金とは?)
期間の定めのある従業員の無期転換について
割増賃金、休業手当、休業補償などの賃金に関する法律実務
変形労働時間制、フレックスタイムス制、裁量労働制、みなし労働時間制など、労働時間管理における法律実務
長時間労働対策
定年退職後の再雇用制度等の運用指導
セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどのハラスメントに関する法律実務
育児休業や介護休業制度の運用指導
メンタルヘルス対策
労使トラブルの予防・対応
使用者と労働者の間に起こりうるトラブル、とりわけ、労働基準法の運用について、
または労働契約法上の権利義務の解釈など、労働諸法令を原因とした労使トラブルを解決に導くのが社労士の業務です。
仕事の具体例として
労働局におけるあっせん申請や労働審判を起こされた場合の会社の対応(解雇訴訟、残業不払い訴訟等)
退職後の元従業員などから未払い残業手当の請求に対する対応(内容証明郵便などが届く)
労働契約上の地位確認訴訟が起こされた場合の対応(解雇無効の訴えに対して、弁護士と連携)
業務上災害における死亡事故に対する会社の対応(労災事故との因果関係及び損害賠償責任について)
メンタルヘルスに罹患したときの会社の対応(休職制度の充実、リハビリ出勤など)
労働基準監督署などの行政機関における臨検・調査対応
社会保険労務士は、労働基準監督署の臨検、調査の対応だけではなく、年金事務所における総合調査や労働保険料の年度更新手続き等算定基礎調査の対応も行います。
中でも労働基準監督署の臨検、調査をしきる労働基準監督官は、行政機関の中でも特別司法警察職員としての職務を有しており、違反者を逮捕、捜索差押、送検等を行う権限があります。
労働基準監督署の臨検、調査は、定期的なもの(定期監督)から従業員の申告によるもの(申告監督)があり、昨今の法改正等により厳しくなっています。臨検、調査を受けて違法性があるという指摘を受け、是正勧告書に対してしっかりと改善していくようにしなければなりません。
どのように対応していけばいいのか、指摘事項を説明し、法令に基づいた指導のお手伝いをさせていただきます。
主な業務内容
- 調査における指摘事項の予測(事前確認対応)
- 調査当日の立会い(調査当日対応)
- 指摘事項の内容確認(是正勧告書や指導票に対して)
- 指摘事項に対する改善提案(調査後対応)
- 指摘事項に対する改善策の実施指導(調査後対応)
- 是正報告書の作成指導
IPO(新規株式公開)支援
新規株式公開を目指す企業の労務管理上の問題点を洗い出すことにより、リスクの把握、整理、改善提案、そして法令遵守するための組織づくりのお手伝いをさせていただきます。
法令遵守といっても、一言では片づけられなく、社会保険労務士の業務の中核をなす人事労務分野の法令は、労働基準法をはじめ、労働契約法、労働者派遣法、男女雇用機会均等法、さらには健康保険法や厚生年金保険保険法などの社会保険諸法令を含めると多岐にわたり、膨大な量になります。
これらの労働・社会保険諸法令を遵守する体制に導くようアドバイスさせていただきます。
主な業務内容
- 就業規則の作成及び届出
- 労使協定の遵守
- 労働時間管理の徹底
- 労働安全衛生管理体制の確立
- 社会保険及び労働保険の適正な運用
労務デューデリジェンス
企業の組織再編、合併、買収など、いわゆるM&Aにおいて、買収先企業における賃金、退職金債務の把握や社会保険の未加入問題など、労務管理上のリスクの把握、洗い出し、さらには再編後に想定される就業規則の統一のための不利益変更の問題など、社会保険労務士としてトータルサポートいたします。
主な業務内容
- 賃金債務の確認(代休等の未消化の状況や残業手当未払いの有無などの確認)
- 退職金債務の確認(将来給付債務の確認)
- 労務トラブルの有無とその内容確認(ハラスメント、解雇、残業手当未払いなど)
- 社会保険未加入者の把握(パートタイマーの被保険者としての取り扱い)
- 労働・社会保険諸法令の違法性の確認(障害者雇用率、育児・介護に関する体制、健康診断実施状況など)
就業規則の整備
就業規則は、今日、個別労使紛争が頻繁に起こるなか、その重要性は更なる重みを増していると感じるところです。
さらに「就業規則は当該事業場内での社会的規範にとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の内容を現実に知っていると否とにかかわらず、またこれに対して個別に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるべきである。」(秋北バス事件、最高裁大法廷判決、昭和43.12.25)とする法規範的な考え方に沿って、合理的な労働条件を規定していくものです。
現在、就業規則がない中小企業や、うちは10人未満(労働基準法上は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成及び届け出義務を課している。)の会社だから必要ないと思われている企業であっても、社内秩序のマニュアル化であり、かつ労働者の就業意欲向上のためにも、労働条件を成文化していくことをお薦めします。
依頼業務の流れ
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まずは、御社の現状を把握、分析し、就業規則における根幹部分(労働時間制度や賃金制度など)の方向性を決定します。現在使用している就業規則がある場合は、その就業規則の実態との整合性の把握から調査します。
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就業規則の原案もしくは変更案の作成を提案します。これは、原案をベースに内容を項目別に整理し、複数回にわたり、説明、修正、再提案を繰り返します。
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複数回の修正を経て、従業員説明会の実施をし、従業員の意見聴取を行います。
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従業員から聴取した意見を意見書として労働基準監督署に届け出る際に添付します。
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所轄の労働基準監督署へ届け出ます。
賃金制度の構築
従来の日本の伝統的な職能資格制度は、職務遂行能力による社内資格であるのに対して、職務・業績・結果を総合評価するという考え方が成果主義です。職務とは、職種に役割性を持たせ困難度や責任度により区分することであり、その結果を業績として集積するとそれが成果になります。
「同一労働同一賃金」に伴う法改正は、パートタイマーや期間契約社員と正規社員との不合理な労働条件の決定を是正するためのものですが、賃金制度において合理的な労働条件の違いを設けるためには、この職務の考え方を賃金制度に導入することが必須であると考えます。
そして成果主義制度とは、この職務に対して、結果・達成度等を評価する制度を構築し、それを賃金や賞与等の処遇に反映させ確立させるものです。
依頼業務の流れ
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まずは、御社がこれまでどのような方法で賃金を決定しているのか、賃金を決定する際に評価制度を導入しているのか、など御社の現状を把握、分析し、今後の賃金制度改定の方向性を確認します。
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賃金制度改定の変更案の作成を提案します。この変更案をベースに、新賃金制度の趣旨目的、内容を確認のうえ複数回にわたり、説明、修正、再提案を繰り返します。
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新賃金制度の提案に並行して賃金規程を作成し提案します。
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複数回の修正を経て、従業員説明会の実施をし、従業員の意見聴取を行います。
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賃金の決定に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項であり、就業規則同様に従業員から聴取した意見書を添付して労働基準監督署へ届け出ます。
退職金制度改善指導
中小企業においては、退職金制度のない企業がまだまだ多いものです。
従業員の定着、従業員のモチベーションのアップなどを図るため、さらには人材募集においても退職金制度の有無は非常に重要であると捉えています。企業経営にとって、退職金制度を作れば不況になったからといって簡単に廃止にすることができないといった不安材料があるのも事実です。
不況下においても強い退職金制度を構築したいと思っている中小事業主の方は多いのではないでしょうか?制度改定に取り組む大手企業に話をよく聞きますが、中小企業においても役割や成果を基準にした退職金制度を導入していくことが、とても意味のあることと考えます。時代は確定給付型から確定拠出型へと移り変わっていく企業年金の変革と同様に、退職金制度の構築もしくは見直しも必至なのではないでしょうか?
オリジナル性を追求した御社に最適の退職金制度を導入するお手伝いをさせて頂きます。
依頼業務の流れ
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まずは、御社が描く退職金制度の分析及び将来給付額の試算をします。退職金制度は通常の賃金とは異なり、独立した性格を有すべきものと考えます。よって、退職金を決定する要素は賃金とは切り離し、評価制度や職務と連動すべきものと考え、御社の現状の評価制度の確立し、それに連動した退職金制度改定の方向性を確認します。
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退職金の決定に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項であり、制度が確立された場合には就業規則の一部として従業員から聴取した意見書を添付して労働基準監督署へ届け出ます。
労働時間制度改善指導
そもそも労働基準法第32条はどのように規定されているかご存じですか?
- 第1項「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
- 第2項「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
と規定されているのに、なぜ1日について8時間を超えて仕事をすることができるのですか?
答えは、労働基準法第36条による労使協定により時間外労働をすることができる場合と、また変形労働時間制を採用することにより1日につき10時間労働などといった労働時間制度を作ることができるからです。
働き方改革関連法の施行により労働基準法が大改正され、時間外労働の規制が強くなる中、変形労働時間制の理解も深めていかなければなりません。
変形労働時間制を誤って運用することで大きなリスクを抱えます。変形労働時間制は、法律上の要件を兼ね備えてこそ採用することができるのです。
御社に最適の労働時間制度を導入するお手伝いをさせて頂きます。
仕事の具体例として
- 変形労働時間制を採用した労働時間制度改善提案
- 時間外労働及び休日労働における振替休日もしくは代休の運用
- 固定残業手当とみなし労働時間制度、さらには年俸制の考え方
- 裁量労働制や事業場外労働におけるみなし労働時間制
- 管理監督者の取り扱い(残業時間、休日出勤時間の適用除外)
- 年次有給休暇の付与義務
あっせん代理人
個別労働紛争における社会保険労務士の「あっせん代理業務」
個々の労働者と事業主との間の労使紛争が多くなっていますが、もし労働に関わるトラブルが発生した場合、「裁判を起こす」ことを考えるのではないでしょうか。しかし、実際に裁判を起こすとなると、たくさんの時間とお金がかかります。また裁判内容が一般公開されますので、労使間の紛争当事者が互いに名誉や心を傷つけあう結果になりかねません。
そこで、裁判をせず、話し合いによって、自主的にトラブルを解決しようという制度(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律)が平成13年に成立し、労使間のトラブルを簡易・迅速・低廉に解決(あっせんによる解決)することができるようになりました。
社会保険労務士のなかでも、特別研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格した者は、特定社会保険労務士として、このあっせんに関する業務に関する手続の代理業務(紛争解決手続代理業務)をすることができます。
個別労働紛争のあっせんとは?
個別労働紛争の「あっせん」制度は、個々の労働者と使用者との間で発生した労働条件や雇用に関するトラブルで、双方の主張が対立し自主解決が困難となった事案に関し、あっせん委員が第三者の立場に立って、当事者双方からの話を聴き、問題点を整理の上、助言等を行い、歩み寄りによる解決の援助を行なう制度です。
あっせん申請の流れ
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1.あっせん申請書の提出
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2.労働者及び事業主双方に事前調査
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3.あっせん作業開始
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4.あっせんの終結
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所轄の労働基準監督署へ届け出ます。
あっせん申請の流れ:詳細
1.あっせん申請書の提出
あっせん申請は、紛争が現に起きている事業所で働く(または働いていた)個々の労働者及びその事業主のいずれからでも申請することができ、事業所が所在する都道府県労働局等にあっせん申請書を提出することになります。なお、あっせん申請は、紛争当事者からの依頼により、労務管理の専門家として「特定社会保険労務士」を代理人とすることができ、代理人である特定社会保険労務士は、依頼人の意見主張を聴き、紛争の解決を図ることを目的に、申請書の作成および申請を行うことができます。
【特定社会保険労務士による紛争解決手続代理業務の内容】
- 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が120万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要)
- 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理
- 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
- 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
- 上記代理業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理を含む。
2.労働者及び事業主双方に事前調査
あっせん申請書に基づき、労働者及び事業主の双方から紛争の経過と主張を聴くなど事前調査が行われます。この調査は、申請者に対しては主にあっせん申請時に、被申請者に対しては申請後できるだけ速やかに実施されます。なお、調査の際には、労働者及び事業主双方ともに資料の提出を求められることがあります。
3.あっせん作業開始
あっせん委員は、労働者及び事業主双方から個別に事情を聴き、その主張や意見について協議を行った上で労働者及び事業主双方に対する説得、意向の打診、紛争解決に向けての方針や解決案(「あっせん案」といいます。)の提示などを行い、紛争の解決を促します。
4.あっせんの終結
以下の場合にあっせんは終結します。
①解決
労働者及び事業主双方があっせん案を受諾した場合や、あっせん員の助言などにより当事者双方が自主的に話し合うことを了解するなど、紛争事項について合意書等を締結した場合にあっせんは解決して終了します。
②打切り
被申請者があっせんに応じないときや、労働者及び事業主双方に解決に向けた歩み寄りがみられない場合等、あっせん委員が紛争解決の見込みがないと判断したときは、あっせんは打切られて終了します。
③取下げ
労働者及び事業主双方が「あっせん」を行う前に紛争を自主的に解決した場合等で、申請者があっせん申請取下書を提出した場合は、あっせんは申請者から取下げられて終了します。